あえて不便を愉しむ。 自然好きなファミリーが選んだ、ロッジ風なリノベ空間
【T邸】完成後インタビュー
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Kenさん(37)・Masamiさん(37)
Ittaくん(7)・Imariちゃん(7ヶ月)
もともとはアパートに住んでいたというKenさんファミリー。
家を建てるにあたり選んだのはKenさんのご両親との同居、そして実家の使われていない仏間のリノベーションでした。
完成した新たな空間は、外観は純和風の立派な家屋。しかし一歩足を踏み入れると、そこには想像以上の別空間が待っていました。
壁一面を使った飾り棚には玖珠町のきじぐるま、竹田市の姫だるまといった民芸品が陳列し、向かいの壁にはボルダリングのクライミングウォールが…!さらにその上には秘密基地ばりのロフトが設置され、趣味のキャンプ用品の収納と書庫になっています。
キッチンに目をやると、ケメックスのコーヒーメーカーや湯町窯のエッグベーカー、ミーレの食洗機にアメリカ製の冷蔵庫がサラリと佇む姿がとてもクール。かと思えば、洗面所やお風呂場はモロッコ風のタイルが無造作にはめ込まれ、その色彩に異国の匂いを感じたり…。
ご夫妻の目利きの高さを思わせる空間に身を置くと、そこはもう、オトナの遊び場のような、好奇心を刺激するリノベーション。
その道のりやその暮らしぶりを、たんと聞いてきましたよ。
こちらに住まわれて4ヶ月経ちますが、アパートに住んでいた時と何か変化を感じますか?
Masamiさん 広さはもちろんですが、天井が高いのがすごく気持ちがいいですね。
Kenさん 朝起きてリビングに来てみると、どこかのロッジに来ているような感覚に陥ります。
< after (吹き抜けの表し天井)>
< before(洋間の飾り天井)>
そもそもソラマドの家とは長い付き合いですよね?
Masamiさん そうですね。5年前くらいかな?
相談しにちょこちょこお邪魔していました。そして最後に訪れたのが2017年くらい。
そこから具体的に話が進んでいきました。かなりのんびり決めた感じはありますが…。
家を建てるにあたり、新築とリノベーションという選択がまずあったかと思うのですが、リノベーションを選択したきっかけを教えてください。
Kenさん もともと僕たちは新築を建てたかったんです。実家の敷地内に倉庫があって、そのスペースを利用して建てるつもりだったんです。
もう場所は決まっていた、と。
Kenさん そうなんです。でも実はそのスペースは「市街化調整区域」で実家の敷地内に別棟で新築を建てられないということが判明して。じゃあどうするのが一番いいかなって考えた結果、実家の仏間が使われていないし、改装したら逆に味が出ていいのかもしれないと思って、方向性を変えてリノベーションに踏みきりました。
< before (畳の和室)>
< before(洋間の応接室)>
そうだったんですね。そういえばこの空間、ご両親と同居という感じがまったくしませんね。
Kenさん まずは2世帯の暮らしを【完全分離】というのが大前提にありましたからね。キッチンをはじめお風呂、トイレも完全に分けたかったので、すべて今回作りました。
同居のご両親は、このリノベーションの完成形を見てどんな感想をお持ちですか?
Kenさん イケてるじゃんって(笑)。
Masamiさん ここで一緒にご飯を食べているんですが、バーに来たみたいだって言ってくれます。
Kenさん 親父も山が好きなので「山小屋見たいでめちゃくちゃいいじゃん」って言ってくれます。梁がむき出しなところが気に入っているみたいです。
Masamiさん ちなみにお父さんもボルダリングします(笑)。
Kenさん 親父のほうがボルダリングにすごく興味津々ですよ。
家族みんなでこのリノベした空間を楽しまれているんですね。
Masamiさん そうなんです。実は、施工前は予定していなかったんですけど、お父さんとお母さんがお住まいのスペースも改装したんですよ。母もソラマドキッチンが気に入って、同時進行で改装しちゃいました。
施工中、一番テンションが上がった時はどんな時だったか覚えていますか?
Kenさん 天井がむき出しになって梁が出てきたとき。天井を見せることは決まっていたんですけど、本当はここまで剥き出しにする予定ではなかったんです。断熱材を入れてベニヤ板を巡らせて新たに天井を作ってダウンライトを埋め込む構想だったんですけど、この天井の立派な梁を見ながら大工さんや現場の方と、全会一致で「むしろこれ、そのままの方がいいじゃないか」と。そして、この流れになりました。

断熱材を入れない選択をしたそうですが、不便はありませんか?
Kenさん やっぱり当然、真夏は暑いですけど…(笑)。
Masamiさん 暑いです(笑)!
Kenさん でも僕らはアウドドアが趣味なんで正直、機能性の部分は優先順位からするとそこまで高くなかったから選択できたのかなと思います。家でも自然を味わえる感じがいいのかな~と。夏暑くて冬寒い、それはそれでいっかって(笑)。虫とか出ますよ。蜘蛛の巣もすぐ張ります。でも小さい虫をクモが食べてくれるし、ね。
Masamiさん クモ…!私は本当に苦手だったんだけど、もう慣れました(笑)
なるほど。結果的に自分たちの趣味や嗜好にあった流れにたどり着いたわけですね。他にこだわった点があったら教えてください。
Masamiさん やっぱりキッチンかな。ソラマドキッチンに絶対したいと思っていたので。
キッチンの奥にあるアーチ型の壁の向こうってパントリーですよね?
Masamiさん はい。奥にパントリーを作っています。これも絶対欲しかったのでお願いしました。
もともとあのあたりって壁があったんですか?
Kenさん いえ、あそこはお仏壇があってパントリーのところは、もともとは縁側になっていたところです。あと、もうひとつこだわったのは「キッチンとダイニングの段差」です。ダイニングは一段下げたかったので。
Masamiさん この、キッチンからリビングへの一段下がった動線は変更しなくて本当によかった。ほんのちょっとのことなんですけど、この「こだわり」で、ずいぶん雰囲気が変わるんです。
でも実際土間って言われても違和感ないですね。
Kenさん そう言ってもらえるとうれしいです。「Pタイル」を選んでよかったです。
塩化ビニル樹脂や炭酸カルシウムなどが原料になっている床材ですから、傷や汚れに強いのもいいですね。
Masamiさん そうなんです。掃除がしやすいのもいいです。
あとは、やっぱりガラス張りのお風呂もこだわりのひとつでしょう?
Kenさん まさしく。モロッコ風な雰囲気に仕上げています。タイルも自分たちで探しました。
わざときっちりはめ込まなくて、ランダムな感じにして異国にありがちなゆるい感じに仕上げたところが気に入っています。
ユニットバスじゃないお風呂ってあこがれますが、実際に暮らして、使ってみてどうですか?掃除とか大変なんじゃないですか?
Kenさん すごく大変ですよ(笑)。でも気に入ってるんで満足しています。不便だけどやっぱりすごく自分としてはいい仕上がりになったかなと。あ、掃除はマメにしていますよ。
Masamiさん 掃除は主人がするっていう約束でガラス張りを許可しましたから(笑)。
実際にどうやって掃除しているんですか?
Kenさん ワイパーで水滴を取り除いて、めちゃくちゃ拭き上げています(笑)。
今のところ奥様との約束は守られていますか?
Masamiさん はい!守ってくれてます(笑)。
ダイニングのシンボル的な飾り棚もリクエストしたものですか?
Kenさん そうです。見せる収納をしたくて。こんなふうに作ってくださいってお願いしました。
天井が高いぶん、かなり印象が強いですね。そしてロフトも素敵ですね。
Masamiさん あとは書庫としても機能しています。思い思いに過ごしている時、誰かしらあそこにこもっています。
ロフトができて、子どもさんの反応はどうですか?
Masamiさん とても気に入ってます。ボルダリングの壁を伝って上がっています。
楽しそうだなぁ! 新居に越して変化した生活習慣ってありますか?
Masamiさん テレビを見なくなったことですかね。私は、実はテレビが付いていないと不安な人だったんですけど、それがなくなりました。
Kenさん 僕は基本的に、テレビは見ずに音楽で過ごしたいタイプなんです。それが結構叶っています。あと、アパートに住んでいた頃は、僕がキッチンにいることなんてほとんどなかったですが、今はほぼソラマドキッチンにいます。
Masamiさん 子どももそうです。ご飯の時間以外に宿題をするときもここに座っています。私もキッチンの中にいることが多いかな。
そうですか。ソラマドの家で家づくりをしてよかったことを教えて下さい
Kenさん ソラマドの家で建てたい人ってこだわりが強い人だと思うんです。それ以上にスタッフさんは造士さんはじめ、型破りな発想とセンスを持ち合わせていると思います。だから一言伝えただけで、充分こちらの意図することが通じるから、そのあたりのストレスがなかったのがよかったですね。
では難しかった点とか、困った点とかは?
Kenさん ないですね。理想とするものができたと思います。僕がこだわりすぎていきすぎてしまうと、奥さんと造士さんがいい具合にブレーキをかけてくれたので助かりました(笑)。
満足のいく家を建てることができた、ってことですね。
Masamiさん よく、家って「3軒目でようやく理想の家になる」って聞くじゃないですか。でも、うちに関しては1軒目で願いが叶いました。
Kenさん ソラマドの家のいいところは、家づくりを慌てさせないこと。逆にもっとせかせてって思ったくらいかも(笑)。そんな悠長で大丈夫かなって思うくらい、自分たちのペースで家づくりをさせてもらえました。
Masamiさん そうそう。せかされるような電話もかかってこないし(笑)。話がお互いに通じているから、打ち合わせ回数も最低限で済んだ気がしますね。
Kenさん 「いいものを一緒に作ろうよ!」ってスタンスがすごくフィットしたので。相思相愛っていうのかな、こーゆーの(笑)。
〜編集後記〜
家づくりって、きっと相当な決意と覚悟が必要なことなのだろうけど、この夫妻はいとも軽やかに建ててしまったように感じさせてくれます。
もちろんそんなことは決してないだろうし、ソラマドの家と出会ってから家が完成するまでの歳月はそれなりに流れています。その間にきっといろんな経験値を上げ、知識を蓄え、来たるべき時の準備をライフスタイルのなかで構築していったのだろうとお見受けしました。
家づくりを【大人の愉しみ】として、たしなんでいらっしゃる感じ。
カッコイイ大人はそんな風にして家を建てていいんだよ、そう教えてくれた気がした家づくりでした。
ひとつ、帰り際にKenさんが神妙な顔つきで語ったことが面白くて…。
「娘が思春期になったらガラス張りの風呂を嫌がったりしないか心配で…」って、そこっ!?
きっと大丈夫ですよ、彼女は物心つく前からスタンダードがガラス張りなので、むしろユニットバスに違和感を覚えると思います(笑)。
──この記事を書いた人
ライター/青木貴絵
大分県臼杵市在住。一児の母。さまざまな媒体の取材をするなかで、ソラマドの家と出会い、施主様の施工前と施工後のインタビューを担当する。インタビューを通して、オリジナリティあふれる家づくりやソラマドの家での暮らし方にフォーカスしていく。同じものが1つとない【スペシャルな家づくり】のストーリーをライターの目線と同時に、妻・母・主婦目線で文章に落とし込んでいる。