< Blog > 熊本地震で思うコト(法律と性能の進化について)

公開日:2026/08/03(月) 更新日:2026/08/03(月) すべてスタッフブログ

皆さんこんにちは。

ソラマドの造士です。

先日の7月28日、熊本県で大きな地震が発生しました。

連日報道では、被災された方たちの日々の厳しい状況が伝えられています。

まずは、被害に遭われた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

ニュースを見ながら、私が真っ先に思い出したのは、2016年の熊本地震でした。

あの時は震度7が二度も発生し、特に益城町周辺では数多くの住宅が倒壊しました。住宅に携わる仕事をしている私たちにとっても、とても衝撃的な出来事でした。

でも実は、日本の住宅は大きな災害が起こるたびに少しずつ進化しています。

今日はそんな話を書いてみたいと思います。

1995年の阪神・淡路大震災では、多くの木造住宅が倒壊しました。

1981年には新耐震基準が導入され、耐震設計そのものは大きく見直されていましたが、それでも激しい揺れによって柱と土台、柱と梁などの接合部が壊れ、柱が引き抜かれるような被害が数多く確認されました。

「壁を強くするだけでは家は守れない。」

そんな教訓から、2000年の建築基準法改正では、柱・土台・梁などを適切な金物でしっかり緊結する基準が強化されました。

皆さんも「ホールダウン金物」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

これは、地震の揺れで柱が基礎から引き抜かれないようにするための、とても重要な金物です。

車で言えばシートベルトのような存在でしょうか。

普段は目に見えませんが、いざという時に建物を守ってくれます。

そして2016年の熊本地震。

この地震では震度7が二度続けて発生するという、日本でも極めて珍しい地震でした。

ニュースで見た方も多いと思いますが、古い木造住宅が1階部分から潰れるように倒壊した映像は、今でも忘れられません。

もちろん、その多くは1981年以前の旧耐震基準で建てられた住宅でした。

さらに当時の住宅は重い瓦屋根が一般的で、耐力壁も現在ほど十分ではありませんでした。

重い屋根を支えるだけの耐震性能が不足していたことも、大きな被害につながった要因の一つだと言われています。

しかし一方で、不思議なことも起きました。

同じ地域なのに、古い家が無事で、新しい家が大きな被害を受けたケースもあったのです。

これは「新しい家だから絶対安心」「古い家だから必ず危険」という単純な話ではないことを教えてくれました。

建物の耐震性能だけでなく、

・建物のバランス

・施工品質

・増改築の有無

・経年劣化

そして何より「地盤」です。

こうした様々な条件が重なって、被害の大きさが決まるのです。

私は、設計打合せ中のオーナーさんから

「地盤改良って本当に必要なんですか?」

と聞かれることがたまにあります。

そんな時は、いつもこうお話ししています。

「もし地盤調査で軟弱地盤と分かったなら、私は建物を少しコンパクトにしてでも、その分の予算を地盤改良に回すことをおすすめします。」

家は設計で強くできます。

でも、その家を支えている地面は、完成してから簡単に変えることはできません。

見えない部分にお金を掛けるのは勇気がいります。

でも、人間も健康診断で悪いところが見つかったら治療をしますよね。

土地も同じです。

調査をして、必要なら適切な対策を行う。

私はそれが安心して暮らせる家づくりの基本だと思っています。

2025年には建築基準法が改正され、一般的な木造2階建て住宅でも、これまで以上に構造や省エネに関する図面・資料の確認が行われるようになりました。

よく「4号特例がなくなった」(4号建築物とは小規模な建物の分類)と言われますが、正確には、木造住宅に対する確認申請時のチェック体制が大きく見直されたということです。

これを例えで説明すると、、、

以前は「宿題を自分で採点して提出しなくてもよかった」ものが、

今は「先生にちゃんと提出して確認してもらう」ようになった。

そんな感じのイメージです。

家そのものが急に強くなったというよりも、設計内容を第三者もきちんと確認する仕組みになったということですね。

その結果、地盤調査の結果に応じた基礎設計や、必要な地盤対策についても、以前より明確に説明・確認されるようになりました。

そして今回の地震で、もう一つ考えさせられたことがあります。

報道では、地震発生後に一度落ち着いたように見えた建物内で事故が発生したケースも伝えられていました。

今回の某ショッピングモールでの爆発災害事故です。

本当に居た堪れない、悲しい災害事故です。

2016年の熊本地震でも、一度目の震度7のあと、自宅へ荷物や貴重品を取りに戻り、その後の二度目の震度7で倒壊した建物の下敷きになってしまった方がいらっしゃいました。

私たちは「揺れが収まったから大丈夫」と思ってしまいがちですが、大地震ではそれが必ずしも正しくないことを、過去の災害が教えてくれています。

住宅性能を信じる安心感も必要ですが、最終的には自己防衛本能をフル活用して「危ない」を感じる意識の訓練も必要だと思います。

家づくりの歴史を振り返ると、新しい基準は誰かが机の上で思いついて作ったものではありません。

阪神・淡路大震災も、熊本地震も、そして今回の地震も、多くの人の経験や教訓の積み重ねが、少しずつ建築基準を進化させてきました。

私たちも法律が変わったからその通りに家をつくるだけではなく、その法律が生まれた理由や経緯なども理解しながら、一緒に家づくりを安心して楽しんで頂きたいと考えています。

家は、完成した日がゴールではありません。

10年後も、20年後も、30年後も、「ただいま」と安心して帰って来られる場所であってほしい。

そのために、見えないところまで丁寧につくる。

それが、私たち住宅会社の使命だと思っています。

最後まで、読んで頂いてありがとう。